内職商法とは、「特定商取引に関する法律」に定められている「業務提供誘引販売取引」のことを言います。
「業務提供誘引販売取引」とは、業者が在宅ワークや内職などの仕事を提供する条件として、パソコンの学習ソフトや教材の購入を求めるといった取引のことです。
例えば、内職募集のちらしなどを見て説明を聞きに行ったときに、「月5万円の収入が入るのだから、パソコンの学習ソフトを購入してもらうけれども、総額50万円のローンの返済額は毎月1万円くらいなので、十分プラスになります。」などといった説明を受けたら、これが内職商法です。
内職商法自体が違法であるかといえばそういうわけではありませんが、仕事を提供するかわりに商品の購入を求めるというのは、もし当初予定していた収入が得られなかった場合など非常にトラブルが起こりやすいビジネスシステムと言わざるをえません。
収入をもらう前に何らかの支払いを求められた場合は、簡単に業者の言うことを信じてしまわないで注意深く行動するのが一番だと思います。
また、在宅ワークに関して、労働省女性局女性労働課では、「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」で在宅ワークを次のように定義しています。
情報通信機器を活用して請負契約に基づきサービスの提供等を行う在宅形態での就労のうち、主として他の者が代わって行うことが容易なものをいい、例えば文章入力、テープ起こし、データ入力、ホームページ作成などの作業を行うものがこれに該当する場合が多い。ただし、法人形態により行っている場合や他人を使用している場合などを除く。
つまり、在宅ワークは労働契約ではなく、請負契約になるわけなので、いわゆる労働基準法は適用されないため、最低賃金などについても労働者として保護されるわけではありません。自分が内職を行う場合には、そういう弱い立場であることを認識して自分自身でよく契約条件を把握してから契約したいものです。
ただ、内職商法に対して全く法的保護がないかと言えば、そういうわけではなく、特定商取引に関する法律では、内職商法を規制対象と定め、広告の表示規制、不当な勧誘行為の禁止、事業の概要や契約内容を記載した書面の交付、20日間のクーリングオフ期間などを義務付けています。
■内職商法の代表的な例
仕事内容 |
データ入力
ちらし配り
宛名書き
間取り図作成
レセプトチェック
テープ起こし
ホームページ作成 |
仕事に必要だからと
購入を求められるもの |
パソコン
パソコン学習ソフト
教材費
研修費
登録料 |
トラブルの内容 |
業務内容が最初に説明を受けたものと違う
社内テストに受からない(仕事がもらえない)
説明を受けたとおりの収入が得られない |
■内職商法対策
「仕事に必要と言われて高額なパソコンや学習ソフトを買ったのに、いざ仕事をもらおうと思ったら全然仕事を紹介してもらえずに結局ローンだけが残ってしまった。」
こんなことにならないように、もし仕事を請け負う場合には、その契約内容をしっかり確認しておきたいものです。不安な方は、仕事を提供してもらうかわりに何らかの商品の購入を求められた場合は安易に契約しないのがトラブルを防ぐ一番の方法でしょう。
通常仕事上で必要な機材や学習教材などは、会社の方で準備するのが一般的な常識だとまねきねこは思います。その会社が学習教材を販売しているとしたら、どう考えても仕事で利益をとっているのではなく、学習教材の販売で利益を取っているようにしか思えないのですが、みなさんはどう思われますか?
どうしてもその仕事をやりたい場合は、業者の説明をしっかり聞き、証拠として残しておけるものは全て保存しておきましょう。
内職商法には20日間のクーリングオフ期間が設けられています。クーリングオフ制度を使えば、この期間内であれば無条件で一方的に解約することができますが、悪徳業者はあの手この手を使ってクーリングオフさせないようにしてくることもあるようです。自分に合わない、話が違うなどと感じた場合は自分を守るためにも、きちっと内容証明郵便を使ってクーリングオフをするようにしましょう。
「特定商取引に関する法律」では、契約内容を説明した概要書面を契約前に交付すること、また契約時に契約内容が明らかにする書面を交付しなければならないとあります。
きちんと書面を交付してもらったか、その契約内容が間違っていないか、誇大広告を行っていないか、不当な勧誘をされていないかなどしっかり確認しておきましょう。
これら契約に関して不備や違反がある場合には、20日間を過ぎてもクーリングオフすることができます。
もし被害を受けたと思ったら、まずは近くの生活センターに相談してみましょう。
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